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オリゴ糖のプレバイオティクスとしての働き

オリゴ糖はプレバイオティクスとして働く成分です。プレバイオティクスという言葉には聞き覚えがないかもしれませんが、これについての研究は多く行われており、大変注目されている食品成分なのです。以下では、オリゴ糖のプレバイオティクスとしての働きについて詳しく紹介していきます。

プレバイオティクスとは

オリゴ糖とプレバイオティクスとしての働きを紹介するためには、まず初めにプレバイオティクスとは何かということを知っておかなければなりません。最初に、プレバイオティクスについて説明しておきます。プレバイオティクスとは、イギリスのレディング大学に所属する、グレン・ギブソン教授によって提唱された概念で、「プレバイオティクスとは、腸管内の特定の細菌の増殖や活性を促進することで人間の健康を改善する、有益な影響を与える難消化性の食品成分である」と定義されています[1]。つまり、プレバイオティクスというのは食品成分のことで、腸管内に存在する細菌(特に善玉菌のことを指す)を増殖させることで、人間にとって様々なメリットをもたらしてくれます。

このプレバイオティクスとしての役割を演じるためには、次の4つの条件を満たす必要があるとされています[1]

1) 胃や小腸で加水分解(消化)や吸収を受けない。
2) 限定された細菌を選択的に増加・活性化させる。
3) その結果として、腸内フローラをより健康的なものに変える
4) 人間の健康に有益な効果を誘導する。

まずプレバイオティクスとしての役割を果たすためには、胃や小腸で分解ないし消化されてはいけません。消化されてしまうと小腸で吸収されてしまうため、細菌が多く存在する大腸にまで到達しません。大腸にまで達しなければ細菌の増加や活性化に寄与しなくなってしまうため、食品成分がプレバイオティクスとして働くためにはこの条件を満たす必要があります。

また、消化されずに大腸に到達した場合でも、そこに存在する細菌のすべてを増殖させてはいけません。大腸には人間にとって良い働きをする細菌(善玉菌)と悪い働きをする細菌(悪玉菌)が一緒に存在しているからです。ですから、良い細菌だけに的を絞って増殖させる必要があります。善玉菌も悪玉菌も区別なく増殖させてはいけないのです。

また、腸内フローラを改善させなくてはプレバイオティクス足りえません。いくら善玉菌だけに絞って増殖させたとしても、それが結果的に腸内フローラの改善に繋がらなければ、十分な健康上のメリットを発揮することができないのです。善玉菌が増えたとしても、悪玉菌がその代わりに減少しなければ、腸内フローラは改善しません。ですから、プレバイオティクスが増殖を促進させる細菌の性質としては、悪玉菌の増殖を抑制する作用を持っている必要があるのです。

そして、その結果として人間の健康にとって有益な変化をもたらすものでなければなりません。結果として悪い影響がでてしまってはプレバイオティクスとは呼べないのです。

以上がプレバイオティクスの定義とそのための条件です。プレバイオティクスとしての役割をはたすためにはたくさんの条件がありますが、この条件を満たしているものこそオリゴ糖なのです。次は、オリゴ糖のプレバイオティクスとしての働きを見ていきましょう。

オリゴ糖はプレバイオティクスとして作用する

オリゴ糖は、人間の消化酵素では分解できない栄養素です。そして、そのままの形で大腸にまで達し、乳酸菌などの善玉菌のみを選択的に増殖させ、腸内フローラを改善させることで様々な健康上のメリットをもたらします。次のグラフを見てください。

図:サンプル別細菌の増加量(出典[1]

このグラフは、それぞれのサンプルを摂取した際の、腸内細菌の増加量を示したものです。棒グラフはサンプルの種類別にわけられており、左からスターチ(Starch)、フラクトオリゴ糖(Fructooligosaccharide)、ペクチン(Pectin)です。スターチというのはトウモロコシ由来のデンプンのことで、消化されてエネルギーになる一般的な炭水化物です。フラクトオリゴ糖は、スクロースにフルクトースが結合してできるオリゴ糖で、オリゴ糖の中では大変メジャなものです。ペクチンは果物の皮などに含まれる食物繊維で、プレバイオティクスとしての働きを持つことが知られています。このグラフでは、オリゴ糖の比較対象として、スターチとペクチンを用いているのです。

そして、グラフの軸は細菌によって分けられています。左からビフィズス菌(Bilidobacletia)、バクテロイデス菌(Bacleroides)、クロストリジウム菌(Closlridia)、大腸菌(E. coll)です。大別すると、先の2つが善玉菌、後の2つが悪玉菌です。

グラフを見てみると、最も目を引くのはオリゴ糖を摂取したときのビフィズス菌の増加でしょう。スターチやペクチンと比べると、オリゴ糖が明らかに多くなっています。これは、オリゴ糖がビフィズス菌を選択的に増加させたことを意味しています。また、クロストリジウム菌についてみてみると、オリゴ糖以外のサンプルを摂取した場合では増加していたのに対してオリゴ糖を摂取した場合では増加していません。これは、ビフィズス菌の働きによるものだと考えられます。ビフィズス菌は酸を作り出し、その酸によってクロストリジウム菌の増殖が抑えられたと推測されます。

このように、オリゴ糖はプレバイオティクスとして働く成分で、特にビフィズス菌の増加を促進します。では、このような働きによって、どのような健康上のメリットを得ることができるのでしょうか。これについて、次で紹介します。

プレバイオティクスに関連する健康上のメリット[2]

まず、免疫力が高まるとされています。腸には、免疫系のほとんどが含まれており、免疫物質の産生にも腸内細菌が関与しています。ですので、体にとって良くない細菌が侵入してきた場合に、それを退治する機能が高まります。また、腸内細菌自体にもそれらの細菌を退治する効果があります。先ほど紹介した乳酸菌のように、酸を産生することで悪い菌の増殖を抑制することもできるのです。このように、免疫系が向上することで、感染症にかかりづらくなったりといった効果が期待できます。

さらに、カルシウムの吸収が高まる効果も知られています。これは、骨粗鬆症の予防や治療に結びつきます。人間での研究はまだ多くありませんが、ラットを用いた動物実験では、プレバイオティクスを摂取することにより、カルシウムの吸収が促進されたことが示されています。

また、プレバイオティクスは便秘の改善に大きく寄与しています。これについては非常に多くの研究が行われています。腸内における善玉菌の増加により、大腸の蠕動運動が活性化、その結果として便通が改善するとされています。プレバイオティクスは手軽に取り入れることができるのも特徴に1つです。便秘に悩んでいるという方はぜひためしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回はプレバイオティクスとオリゴ糖との関係についてご紹介しました。プレバイオティクスは人間の消化酵素で分解されないため、それにより腸内における善玉菌が増加、結果として人間にとって有益な作用をもたらします。オリゴ糖には、プレバイオティクス作用があり、そのため免疫力やカルシウム吸収の増加、便通の改善をもたらします。手軽に摂取することができますので、ぜひお試しください。

参考文献

[1] Gibson, Glenn R., and Marcel B. Roberfroid. "Dietary modulation of the human colonic microbiota: introducing the concept of prebiotics." The Journal of nutrition 125.6 (1995): 1401.

[2] Macfarlane, G. T., H. Steed, and S. Macfarlane. "Bacterial metabolism and health‐related effects of galacto‐oligosaccharides and other prebiotics." Journal of applied microbiology 104.2 (2008): 305-344.