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オリゴ糖の子どもの便秘への効果について

子どもの便秘は決して珍しくありません。成人の便秘において効果を発揮するオリゴ糖は、果たして子ども便秘においても有効なのでしょうか。今回はオリゴ糖と子どもの便秘について解説していきます。

子どもの便秘は珍しくない

まず初めにお伝えしなければならないことは、子どもの便秘は決して珍しくないということです。便秘は大人だけの症状と考えている人もいらっしゃるかもしれませんが、ある研究によると、小学生の18.5%が1週間あたりの排便回数が2・3回未満であったとされています。子どもの便秘の頻度についての研究は決して多くはありませんが、この研究は小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインにおいて紹介されている信頼性の高い研究です[1]。そのため、ある程度の信頼性は有していると考えるべきでしょう。

便秘の小学生が18.5%もいるときいて、これを多いと感じるか少ないと感じるかは人によって様々でしょう。しかしこの値は成人女性と比べても決して少なくはありません。病院で働いている女性職員を対象とした調査では、その18.0%が自分は便秘であると回答しています[2]。この調査だけを見ると、成人女性よりも子どものほうが便秘になる頻度が高いということになります。これらのことから、子どもの便秘は決して珍しいことではなく、誰にでもなり得る状態であるということが分かります。

子どもの便秘というと、治すのをはばかられる方があるいはいらっしゃるかもしれません。しかし、決して珍しくはなく、一般的に起こりうる状態であるとの認識を持って治療に当たれると良いでしょう。

子どもの便秘にオリゴ糖は有効か

では、ここからは子どもの便秘にオリゴ糖が有効かどうかを紹介していきます。

便秘の原因には様々ありますが、その原因の1つに腸内フローラの異常が指摘されています。腸内フローラというのは腸内に存在する細菌の群れのことをいい、それらがバランス良く存在している状態がよいとされています。しかし腸内フローラは不規則な生活週間などによっても乱れてきます。それによって便秘になってしまうことがあります。

これは、善玉菌が減少することによって蠕動運動が抑制されることによって起こります。腸内に存在する細菌のうち、人間にとって有益な働きをする細菌のことを善玉菌と呼び、大腸に送り込まれた食物を発酵し、乳酸などの有機酸を産生する働きがあります。いうまでもなく有機酸は酸性の物質ですので、これにより腸内の環境が弱酸性になります。弱酸性になることで大腸の蠕動運動が活性化され排便が促されるのです。しかし、先ほどあげたような要因などによって善玉菌が減少してしまうと、この蠕動運動が抑制されてしまいます。それによって便秘になってしまうのです。

ですので、便秘の改善のためには腸内における善玉菌を増やすことが重要になってきます。そしてそのための方法としてオリゴ糖の摂取があるのです。人はオリゴ糖を分解できません。人間の消化酵素で分解されないという性質をもっています。ですので胃や小腸を通過して、そのままの形で大腸にまで達し、どこで善玉菌のエサとして働きます。その結果として、善玉菌を増加させることができるのです。善玉菌の増加は便秘の改善につながるので、オリゴ糖摂取によって便秘を改善することができるというわけなのです。

しかし、実はオリゴ糖摂取によって改善できない便秘もあります。それは子どもの慢性便秘です。いつも便秘というわけではなく、たまにしか便秘にならないという場合にはオリゴ糖の摂取は有効です。しかし、常に便秘状態である慢性便秘症の場合はオリゴ糖摂取によって便秘の改善ができません。これは、腸内フローラの異常が、慢性便秘の場合にはみられないためです[1]。

そのため、慢性的に便秘であるという場合は、オリゴ糖の摂取による期待できないかもしれません。腸内フローラに異常がないわけですから、それの改善による効果は期待できないかもしれないのです。そのため、この場合にはオリゴ糖に頼らない方法による対策を行っていく必要があります。その対策について以下で紹介していきます。

子ども便秘改善のためにできること

子ども特有の原因を理解する

子どもにおける慢性機能性便秘症について、それを悪化させる要因には、1)育児・生活状況の問題、2)便量の減少と乾燥があるとされています[1]。具体的には、1)不適切なトイレットトレーニング、トイレ嫌い、学校トイレ忌避、親の過干渉、性的虐待、家庭環境の変化、いじめなど、2)低食物繊維食、慢性的な脱水、低栄養、栄養失調があげられています。これらのうち、特に学校でのトイレ忌避は子どもに特有の問題でしょう。これらの問題を解消することが、子どもの慢性便秘を解消するために必要になります。

食物繊維を増やすのも効果的

食事の面からは、食物繊維を増やすことが効果的です。食物繊維はオリゴ糖と同様に人間の消化酵素では分解されない成分です。昔の栄養学では人間の健康には全く貢献しないとして必要ない成分との認識でありましたが、現在ではその機能性が見直され、肥満を予防する効果や血糖値の上昇を抑制する作用などの多くの健康効果が見いだされています。

食物繊維もオリゴ糖と同じように腸内における善玉菌を増やすのに貢献する成分ですが、食物繊維の働きはそれだけではありません。腸内において水分を吸収して膨らむという働きを持っています。そのため、便の量や水分量を増やす効果が期待できます。それに加えて、大腸の蠕動運動を促進するという効果もあるので、食物繊維は便秘解消にはとても効果的な成分なのです。

子どもの便秘が食物繊維を摂取することで良くなったとのデータもあります。これは2004年に学術誌「Pediatrics」に発表された研究により報告さています[3]。16人の男児と15人の女児の合わせて31人の子どもを対象に、1ヶ月間にわたって行われました。対象者を2つのグループ、食物繊維を摂取するグループと摂取しないグループとに分けて4週間後の便秘改善状況を調査しました。その結果は食物繊維の効果を立証するものでした。食物繊維を与えられていないグループの便秘改善状況が13%であったのに対して、食物繊維を与えられたグループでは45%の子どもが便秘を改善させていたのです。このことから、食物繊維の摂取が便秘の改善に有効であるとの結論が得られました。

食物繊維は野菜や海藻、豆類に多く含まれています。ですので、これらの食材を普段の食生活に上手に取り入れると良いでしょう。通常の食品からの摂取の他にも、特別に食物繊維が添加された食品なども多く販売されています。通常の食品から摂取するのが最良ですが、どうしても困難な場合にはこれらの食品を上手く利用するとよいでしょう。

まとめ

今回は子どもの便秘におけるオリゴ糖の効果についてご紹介しました。オリゴ糖は腸内フローラを整える働きがあるため、子どもの便秘においても成人の場合の同様に効果を発揮します。しかし、腸内フローラの異常を伴わない便秘、慢性の便秘症の場合には効果が期待できない可能性があります。そのような場合は、学校でのトイレ忌避などの子ども特有の原因を解消するように心がけたり、便秘改善効果の高い食物繊維を上手に摂取したりすると良いでしょう。

参考文献

[1] 日本小児栄養消化器肝臓学会 日本小児消化管機能研究会. 小児慢性機能性便秘症 診療ガイドライン.

[2] 平塚 秀雄. 女性と便秘. 日本大腸肛門病会誌. 43 : 1070-1076, (1990).

[3] Loening-Baucke, Vera, Erasmo Miele, and Annamaria Staiano. "Fiber (glucomannan) is beneficial in the treatment of childhood constipation." Pediatrics 113.3 (2004): e259-e264.