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オリゴ糖を摂取すると副作用で下痢になる?

オリゴ糖は便秘の改善に有効な栄養素です。その効果がですぎた場合に下痢になるのでは?と不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はそんなオリゴ糖と下痢との関係についてご紹介していきます。

オリゴ糖は便秘を改善する

オリゴ糖の健康に関する効果として、便秘を改善することがあげられます。これは、オリゴ糖が腸内におけるビフィズス菌の増殖を促すことに起因しています。27名の被験者を対象としてフラクトオリゴ糖の効果を検証した研究では、フラクトオリゴ糖の摂取により被験者の糞便に含まれるビフィズス菌が増加したとの結果が得られました[1]。オリゴ糖は人間の消化酵素では分解されないという特徴があるため、そのままの形で大腸にまで達し、そこでビフィズス菌のエサになります。その結果としてビフィズス菌が増加したのです。

腸内におけるビフィズス菌の数が増加することによって、便秘を改善することができます。どうして改善できるのかというと、ビフィズス菌の産生する乳酸に大腸の蠕動運動を促進するという効果があるからです。便秘の人の多くは、何らかの原因によって大腸の活動がにぶってしまっており、その結果として排便が困難になっているようです。そのため、ビフィズス菌の作用により大腸の活動が活発になったことで便秘が改善されたと考えられているのです。

このように、オリゴ糖には便秘を改善する効果がありますが、その効果がですぎた場合に逆に便秘になるのでは?と思われるかもしれません。たしかに、オリゴ糖が一種の下剤のような働きをするのであれば、オリゴ糖を大量に摂取した場合に下痢の原因になってしまう可能性があるでしょう。では、果たしてこれは本当なのでしょうか。このことについて、以下で詳しく紹介していきます。

オリゴ糖の過剰摂取は下痢の原因に

最初に結論から申し上げますと、オリゴ糖と下痢との関係を観察した実際の研究においても、オリゴ糖を過剰に摂取した場合には下痢を誘発することが報告されています。ただし、過剰に摂取しない場合では下痢は発生しないこともわかっています。

一度に大量に摂取すると下痢の原因になる可能性が

目安摂取量の何倍もの量を摂取した場合に、オリゴ糖が下痢の原因になることがあるようです。健康な女子大生22名を対象に行われたこの研究は、45-60グラムもの大量のオリゴ糖を摂取した場合の下痢に対する影響を観察しました[2]。この研究で使われたオリゴ糖の量は、オリゴ糖の1日目安摂取量が2-5グラムとされていることを考慮すると、かなりの量であることがお分かりいただけるかと思います。

この場合では、何人かの対象者が下痢を発生させました。45グラムのオリゴ糖を投与された対象者では8人中3人(38%)が、60グラムのオリゴ糖を投与された対象者では14人中9人(64%)が下痢を発生させたのです。

なぜオリゴ糖を大量に摂取することで下痢が発生したのかというと、オリゴ糖の高い浸透圧が関係しています。浸透圧というのは水分を引きつける力とも表現することができ、これはナメクジに塩をかけた際にも確認することができます。浸透圧の高い物質(塩)がナメクジのもつ水分を引きつけてしまうので、それによってナメクジが縮んでしまうのですね。

これと同じような現象が大腸で発生しているのです。オリゴ糖は浸透圧の高い物質で、消化されずにそのままの形で大腸にまで達するため、オリゴ糖を大量に摂取した場合では大腸内の浸透圧が上昇してしまいます。その浸透圧の上昇が、大腸内への水分の引きつけを生んでしまい、便の水分量が増加、その結果として下痢になってしまうのです。

ただし過剰に摂取しない場合は下痢にならない

ただし、オリゴ糖の摂取量が目安量より多くても、それが過剰でない場合には下痢を発生させないようです。これに関する研究が日本人の健康な男女、合計84人を対象として行われました[3]。対象者を、オリゴ糖が与えられるグループと乳糖が与えられるグループとの2つにわけ、それぞれのサンプルを摂取した場合における便の状態を観察しました。その結果が次のグラフで示されています。

図:0.4g/kg標準体重を投与された後における便の状態(出典[3]

このグラフは、体重1キログラムあたり0.4グラムのオリゴ糖と乳糖を摂取した場合の、便の状態を発生率によって表したものです。黒の縦棒がオリゴ糖を摂取したグループの、グレイの縦棒が乳糖を摂取したグループを示しています。便の状態はa:カチカチ状、b:バナナ状、c:半練状、d:泥水状、e:水様状で分類されています。その分類ではbが最も好ましく、dやeだと下痢であるといえるでしょう。

グラフを見ると、どちらのグループもバナナ状(b)の便が多い結果になりました。そして、下痢(d、e)が発生したのは乳糖を与えられたグループだけで、オリゴ糖を摂取したグループでは発生していませんでした。このことから、体重1キログラムあたり0.4グラムのオリゴ糖摂取では、下痢が発生しなかったことを示しています。

そしてこの体重1キログラムあたり0.4グラムのオリゴ糖というのは、決して少ない量ではありません。むしろ多すぎるくらいの摂取量です。先でも示したように、オリゴ糖の1日目安摂取量は2-5グラムです。これに対して、今回の実験での摂取量は、体重50kgで計算すると20グラムにもなります。つまり、下痢が発生しなかった摂取量でも十分に多い量であって、目安摂取量を少し超えたくらいの量では下痢を発生させないのです。

オリゴ糖を大量に摂取することで下痢が発生するのは確かですが、目安摂取量の数倍程度の摂取量では下痢を発生させることはないようです。

オリゴ糖には下痢を改善する効果もある

ここまではオリゴ糖は下痢の原因になるということを紹介してきましたが、それとは反対に下痢を改善する効果もあるということを以下では紹介していきます。

下痢の原因として腸内における浸透圧の上昇があります。これによる下痢を浸透圧性下痢といいますが、これは先ほど紹介したように、オリゴ糖の大量摂取によっても発生します。そのほか、牛乳中に多く含まれる乳糖も、乳糖を消化しにくい人(乳糖不耐症)の場合は腸内における浸透圧を高めるため、浸透圧性下痢の原因になります。また、場合によっては腸内に存在する悪玉菌が原因となって下痢を発生させる場合もあります。そしてこの下痢をオリゴ糖は防いでくれるのです。

腸内に存在する悪玉菌には、大腸菌やクロストリジウムなどがあり、何らかの原因によってこれらが増加すると下痢を発生させる場合があります。大腸菌と聞くとO157のような怖い大腸菌を想像されるかもしれませんが、それだけではなく、O157のほかにも病原性を持った大腸菌が存在しているのです。それらが原因となって下痢を発生させる場合があります。

そのような下痢を防ぐためにオリゴ糖が有効なのです。なぜなら、オリゴ糖は腸内におけるビフィズス菌を増加させ、大腸菌などの悪玉菌の増加を抑制するからです。119名の子どもを対象とした研究では、オリゴ糖摂取による下痢の改善効果を測定しました。対象者をオリゴ糖が与えられるグループと与えられないグループとの2グループに分け、それぞれのグループにおける下痢を発生した場合の平均下痢継続時間を比較しました。この結果が次のグラフで示されています。

図:下痢の継続時間(出典[4]

左側の箱ひげ図がオリゴ糖を摂取したグループ、もう片方が摂取しなかったグループです。オリゴ糖を摂取したグループの方が下痢の継続時間が短かったことがわかります。この結果は、オリゴ糖が腸内における大腸菌などの悪玉菌を減少させ、その結果として下痢の継続時間が短くなったと考えられます。

まとめ

今回はオリゴ糖と下痢の関係についてご紹介しました。オリゴ糖は便秘を改善する効果のある栄養素ですが、目安量の10倍程度を摂取した場合には下痢になることがあるようです。ただし、目安量の数倍程度を摂取した場合では下痢を発生させません。また、大腸菌などが関わるある種の下痢にはオリゴ糖が改善効果を示すようです。オリゴ糖の副作用として下痢を心配されている方は参考にしてください。

参考文献

[1] Tokunaga, Takahisa, et al. "Effects of fructooligosaccharides intake on the intestinal microflora and defecation in healthy volunteers." Bifidus- Flores, Fructus et Semina 6.2 (1993): 143-150.

[2] Oku, T., and M. Okazaki. "Effect of single and divided ingestions of the nondigestible oligosaccharide" galactosylsucrose" on transitory diarrhea and laxative threshold in normal female subjects." Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (Japan) (1999).

[3] Mikuni, Katsuhiko, et al. "Investigation of Some Relationships between Administration of 4G-β-D-Galactosylsucrose (" Lactosucrose," LS) and Abdominal Symptoms." Journal of the Japanese Society of Starch Science 40.1 (1993): 15-19.

[4] Juffrie, Mohammad. "Fructooligosaccharide and diarrhea." Bioscience and microflora 21.1 (2002): 31-34.