オリゴ糖と便秘について

オリゴ糖は便秘を改善することができます。これは、オリゴ糖に腸内環境を整える働きがあるためです。今回は、そんなオリゴ糖と便秘との関係について、そもそもの便秘の原因からオリゴ糖が便秘を改善するメカニズムまで詳しく紹介していきます。

なぜ便秘になるのか

オリゴ糖と便秘との関係を説明する前に、なぜ便秘になるのかといった点から紹介していきます。

そもそも便秘とはどういった状態なのでしょうか。いまのところ便秘に関する明確な定義はありません。しかし、普通便秘について取り上げる際には、便の回数が少なかったり、状態が良くなかったり、便の状態が悪かったり(固い・柔らかい)といった状態だと便秘になっているとされます。また、便量が減少した状態でも便秘であると言うことが多いようです。

便秘に影響する要因についても様々存在すると言われています[1]。一般に女性の方が男性よりも便秘に悩む方が多く、それは性周期や食事量によるものだとされています。月経周期に関係しているホルモンであるプロゲステロンは、大腸の働きを抑制する働きがあるとされていますし、食事量が少ないとそもそも便量が少なくなりがちです。そのために女性の便秘が発生しやすくなるのです。

また、排泄環境も便秘に影響しているとされています。他人に便意を知られる羞恥心などから、排泄を我慢してしまうような習慣がある場合に便秘になりやすいそうです。特に学生の便秘の原因として多く見られるといわれています。

ある病院で働く女性職員にアンケートを行ったところ、看護師の33%、一般女性職員の18%が、自分が便秘であると考えています[1]。このことから、便秘は女性にとって非常に身近な体の状態であるといえるでしょう。

ビフィズス菌の投与により便が改善

女性にとってある意味身近な状態と言える便秘ですが、乳酸菌の一種であるビフィズス菌の摂取によって改善することができると考えられています。

これに関する研究が、フランスの研究者らによって2002年に学術誌「Alimentary Pharmacology & Therapeutics」に発表されています。36人の女性を対象に行われた研究です。対象者を2つのグループに分け、一つのグループ(A)にはビフィズス菌の入っていないコントロール食を食べた後にビフィズス菌の入った食事を食べさせ、もう一つのグループ(B)には逆の順番で摂取させました。研究の実験計画を以下の図でお示しします。

図:研究の実験計画(出典[2]

導入では、これまで食べてきた食事の影響を取り除くために設けられています。通常食べられている食品(ヨーグルトなどの発酵食品など)にも乳酸菌が含まれているので、その影響を除くための期間です。その期間の後にAグループにはコントロール食を、Bグループにはビフィズス菌を摂取させました。そして10日間の中断期間の後にそれぞれ逆の食事を摂取させました。そして、それぞれの期間における便の腸管通過時間を測定しています。それぞれのグループにおける結果示したのが次のグラフです。

図:グループ別の期間ごと腸管通過時間(出典[2]

このグラフを見てもわかるように、ビフィズス菌を投与された後では、導入期間やコントロール期間と比べて腸管通過時間が短くなっています。腸管通過時間というのは、食物を口から食べて、肛門から排泄されるまでの時間のことを示しています。この時間が長いと摂取した食物が長く体の中にとどまっている状態、つまり便秘状態であるといえます。このような状態では、食物が発酵などを受けて、アンモニアなどの人体にとって有害な物資が生成されてしまい、健康などに良くありません。ビフィズス菌の摂取により腸管通過時間は短くなっていました。つまりこれは、ビフィズス菌を摂取することで便秘の改善に寄与したことを示しています。

このような結果になった理由は、ビフィズス菌のもつ、胆汁酸の変換作用にあると考えられます。胆汁酸は、食べ物に含まれている脂肪分を吸収するために必要となるものです。脂肪分はそのままの形では消化酵素などの働きを受けにくいため、胆汁酸により乳化され、その後に消化・吸収されるのです。このほとんどは、その後再利用されるのですが、一部は大腸にまで達します。その胆汁酸が乳酸菌によって変換され、二次胆汁酸が生成されます。この二次胆汁酸に腸の蠕動運動を促進する作用があるために、乳酸菌を摂取することで、腸管通過時間が短縮され、便秘状態の改善につながるのです。

オリゴ糖摂取により腸内環境が整う

このような効果は、オリゴ糖を摂取することでも得ることができます。これは、オリゴ糖に、腸内における乳酸菌などの善玉菌を増加させ、腸内環境を整える働きがあるためです。

オリゴ糖摂取により腸内の善玉菌が増加し悪玉菌が減少

これについては、1991年に明治製薬の研究員らによって行われた研究に根拠を求めることができます[3]。27人の健常成人を3つの群に分け、それぞれの群にフラクトオリゴ糖を1g、3g、5gとそれぞれ2週間摂取させました。その後、便の状態や、含まれる菌数などを調査しました。その結果を次の表に示します。

表:オリゴ糖摂取による影響(出典[3]

項目 摂取量/日 摂取前 摂取中 摂取後
pH 1g 6.5 6.1 6.0
3g 7.1 7.2 6.3
5g 6.8 6.8 7.0
総菌数 1g 10.3 10.7 10.8
3g 10.5 10.8 10.7
5g 10.5 10.8 10.8
ビフィズス菌 1g 9.8 10.2 9.9
3g 9.9 10.4 9.9
5g 9.7 10.3 9.7

この表を見る限り、pHには大きな影響はないように見えます。しかし、総菌数はオリゴ糖の摂取により増加していました。また、特に注目するべきなのはビフィズス菌の増加です。ビフィズス菌は体にとって有益な効果を発揮する善玉菌の代表とも言える菌です。この菌が、オリゴ糖の摂取により増加していました。そしてその増加は、摂取をやめたことにより失われてしまいました。つまりこのことから、オリゴ糖を摂取することで、ビフィズス菌を増やすことが出たということなのです。

便の状態も改善

また、オリゴ糖の摂取により便の状態に改善が見られました。次の表を見て下さい。

表:便通スコア(出典[3]

  摂取前 摂取中 摂取後
頻度スコア 1.14 1.31 1.23
量スコア 1.89 1.99 2.00
固さスコア 3.28 3.53 3.31
色スコア 2.05 2.11 1.98
臭いスコア 2.07 2.04 1.98
排便後の感覚スコア 2.19 2.12 2.07

この表は、被験者にそれぞれの項目について調査期間中に記録をしてもらい、その結果をスコア化したものです。たとえば、便の量については、1:少ない、2:普通、3:多い、の3段階から記録してもらい、その結果を平均値として算出しています。スコアが高いほど便通が良好なことを示しています。ほとんどの項目でオリゴ糖摂取によりスコアが高くなっていました。そして摂取後は、そのスコアが摂取前の値に近づいていることがおわかりいただけると思います。このことは、オリゴ糖摂取が、便の状態を改善したことを示しています。

これについても、オリゴ糖摂取により、ビフィズス菌などの善玉菌が増加し、腸内環境が整ったことによると考えられます。人間の消化酵素ではオリゴ糖は分解できないため、そのままの形で大腸にまで達します。そして大腸において、ビフィズス菌などの善玉菌のエサになります。そのために、オリゴ糖摂取により善玉菌が増加していました。オリゴ糖の摂取が腸内環境を整えたのです。その結果として、便の状態が改善していました。これらのことから、オリゴ糖摂取が便秘の改善に効果的であったことが示されました。

まとめ

今回はオリゴ糖の便秘改善効果をご紹介しました。便秘は多くの女性に見られる状態で、不快感をもたらしたり、場合によっては病気の原因になったりします。そんな便秘を改善するポイントは、腸内環境を整えることでした。乳酸菌の摂取や、そんな乳酸菌を増加させるオリゴ糖の摂取によって腸内環境が整い、その結果として便秘を改善することができます。便秘に悩んでいるという方は一度試されてみてはいかがでしょうか。

参考文献

[1] 平塚 秀雄. 女性と便秘. 日本大腸肛門病会誌. 43 : 1070-1076, (1990).

[2] Marteau, P., et al. "Bifidobacterium animalis strain DN‐173 010 shortens the colonic transit time in healthy women: a double‐blind, randomized, controlled study." Alimentary pharmacology & therapeutics 16.3 (2002): 587-593.

[3] 徳永隆久, 他. "フラクトオリゴ糖摂取が健常人の腸内細菌叢および便通に及ぼす影響." ビフィズス 6.2 (1993): 143-150.