オリゴ糖はアレルギー発生を抑える

花粉症や食物アレルギーなど、辛い症状をもたらすアレルギー。実は腸内細菌叢の異常によっても発生すると言われています。そのため、腸内細菌叢を改善する作用のあるオリゴ糖によって、アレルギーを予防できることが示唆されています。今回はオリゴ糖とアレルギーとの関係について紹介していきます。

アレルギーとは?[1]

症状

はじめに、アレルギーの症状について紹介していきます。アレルギーの症状は、様々な場所に現れます。たとえば、食物が原因となって引き起こされる食物アレルギーの場合、皮膚にじんましんができたり、赤く腫れたりします。また、皮膚に現れる症状の他には、眼が充血したり、鼻水がでたりといった粘膜症状、腹痛や嘔吐といた消化器症状なども現れます。それに加えて、アレルギーが重篤なものになると、呼吸が困難になるなどの呼吸器症状が現れ、命にかかわるものになります。このように、アレルギー症状が現れる場所は一つではなく、様々な場所に発生するのです。

また、アレルギー症状は軽度なものから重度なものまであります。軽度のアレルギーだと鼻水が出やすくなる程度だったりするので、本人がアレルギー症状に気づかないこともあるほどです。そうかと思えば、アレルギーが重度になると、全身が真っ赤になり、血圧が急激に低下、場合によっては呼吸が止まったりすることもあるのです。

アレルギーの種類も様々です。食物が原因になって引き起こされる食物アレルギーについては先でも説明しました。エビやカニ、卵や牛乳などはアレルギー症状を引き起こしやすいことが知られています。また、花粉症も、花粉が原因となって引き起こされるアレルギーの一種です。そのほか、薬物が原因となって引き起こされる薬物アレルギー、虫に刺されることが原因になる虫刺されアレルギーなどがあります。一口にアレルギーといっても、その種類には様々なものがあるのです。

原因

では、そんなアレルギーの原因はなんなのでしょうか。どうしてこのようなアレルギー反応が起こってしまうのでしょうか。

簡単に説明すると、アレルギーは免疫反応の一種です。免疫反応とは体が体にとって有害な物質に対する反応のことで、病原菌に対する反応がその例としてあげられます。病原菌が体に侵入すると、私たちの体は免疫物質が作りだし、それを退治しようと試みます。これと似た反応がアレルギー反応です。

花粉症の場合だと、花粉が先の例の病原菌の代わりをします。本来は人体にとってそれほど害のない花粉ですが、花粉症の人はこれを異物として認識してしまいます。鼻水をだしたり、くしゃみをしたりすることによって体外に排泄しようとします。その結果として不快感を強く感じる状態になってしまうのです。食物アレルギーも同様のメカニズムで発生しており、それほど過敏に反応する必要のない物質に対しても過剰に反応してしまうことで、アレルギー症状が発生するのです。

ではなぜこのような症状が発生してしまうのでしょうか。花粉にしても食べ物にしても、アレルギー症状を起こす人とそうでない人に分かれます。このように分かれてしまう原因はなんなのでしょうか。その原因は「免疫の異常」です。免疫機能が正常だと、人体にとって有害であるかそうでないかを正しく識別できるため、アレルギー症状は引き起こされません。しかし免疫に異常があると、人体にとって有害でないものまで有害であると判断されてしまうため、アレルギー症状が引き起こされてしまうのです。

免疫の異常は腸内細菌叢のバランスによっても引き起こされる

では、どのようにして免疫の異常は引き起こされるのでしょうか。その原因の1つとして「腸内細菌叢」の異常があります。腸内細菌叢というのは、消化管に存在している微生物たちのコミュニティのことをいいます。人間は多くの微生物とともに生存していますが、その中でも特に多くの微生物が存在しているのが消化管なのです。腸内細菌叢は人間が生まれてから1年から2年で確立され、その後の生活で少しずつ変化していきます。

「細菌」や「微生物」と聞くと、どうしても悪い働きをするものであると考えがちです。たしかに、そのような微生物もいます。食べ物が腐って食べられなくなるのも微生物による働きですし、感染症の多くは微生物が原因になります。しかし、良い働きをする微生物も中にはいます。ヨーグルトやキムチなどの発酵食品は微生物によって作られますし、皮膚に存在する微生物の中には、感染症の原因となる微生物を退治する役割をもったものもいます。また、消化管に存在する微生物、つまり腸内細菌叢を形成している微生物はビタミンを作り出したり、脂質の消化・吸収に必要な胆汁酸を代謝したりします。それに加えて、そこに住んでいる微生物は、免疫系を調整する働きも持っているのです。

このことは、腸内細菌叢の異様が免疫系の異常にもつながり、その結果としてアレルギーを発症させてしまうことを示唆しています。実際、腸内細菌叢とアレルギーとの関連を検討した研究においても、アレルギーを発症した乳児と発症しなかった乳児とでは、腸内細菌叢のバランスが異なっていたことが示されています[2]。腸内細菌叢がアレルギーに関連していることは間違いなさそうなのです。

オリゴ糖摂取でアレルギー改善の発生を抑制できる

では、どのようにすれば腸内細菌叢は改善されるのでしょうか。そのための手段には様々あります。たとえば、微生物を直接体内に取り込むことによっても腸内細菌叢は改善されます。乳酸菌の入った飲料などは、スーパーなどでも入手することができますよね。こういったものを摂取することでも腸内細菌叢を改善することができるのです。このような働きをする微生物のことを「プロバイオティクス」といい、乳酸菌がその代表です。

プロバイオティクスに似た言葉として「プレバイオティクス」という言葉があります。菌のことを直接指しているプロバイオティクスに対して、プレバイオティクスはその菌を増加させる効果のある成分のことを指します。そしてその成分の1つに、今回紹介しているオリゴ糖があるのです。オリゴ糖には乳酸菌などの、腸内細菌叢を構成している微生物の増殖を促進し、腸内細菌叢のバランスを整える作用があります。その結果として、免疫が正常に働くようになり、ひいてはアレルギーの予防につながると考えられるのです。つまりこのことは、オリゴ糖がアレルギーの改善に有効かもしれないということを指してもいます。

オリゴ糖とアレルギーとの関係を調査した研究が学術誌「The Journal of nutrition」に報告されています。この研究は、親がアトピーの病歴を有している、つまりアトピーのリスクの高い乳児を対象に行われました。腸内細菌叢は、生後1年から2年の間にある程度確立してしまうため、それまでにオリゴ糖を投与する必要があります。そのため研究は、生後6ヶ月の乳児を対象として始められ、生後2年が経過するまで続けられました。

乳児をオリゴ糖を与えられるグループと与えられないグループとの2つのグループに分け、研究期間内におけるアレルギーの累積発生率を比較しました。その結果が次のグラフです。

図:オリゴ糖投与の有無におけるアレルギー兆候の累積発生率(出典[3]

このグラフではオリゴ糖を与えられたグループ(GOS/FOS)と、与えられなかったグループ(Placebo)とにおけるアレルギー兆候の累積発生率(Cumulative Incidence)を示しています。アレルギー兆候としては、アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis)と喘息(Recurrent wheezing)、アレルギー性じんましん(Allergic urticaria)を対象としており、いずれにおいてもオリゴ糖を与えられたグループで発生率が低くなっていました。このことは、オリゴ糖の投与によってアレルギーの発生を抑えることができたことを示しているのです。

まとめ

今回はオリゴ糖とアレルギーとの関係について紹介しました。アレルギーの原因は免疫の異常で、それは腸内細菌叢の乱れによってももたらされるのでした。そしてその腸内細菌叢の乱れは、オリゴ糖によって改善されます。実際の研究においても、オリゴ糖を摂取することで腸内細菌叢の乱れが改善し、その結果アレルギー症状の発生を予防することができました。オリゴ糖の、アレルギー予防への有用性をお伝えできれば幸いです。

参考文献

[1] ayo Clinic. “Allergies”.

[2] Björkstén, Bengt, et al. "Allergy development and the intestinal microflora during the first year of life." Journal of allergy and clinical immunology 108.4 (2001): 516-520.

[3] Arslanoglu, Sertac, et al. "Early dietary intervention with a mixture of prebiotic oligosaccharides reduces the incidence of allergic manifestations and infections during the first two years of life." The Journal of nutrition 138.6 (2008): 1091-1095.