オリゴ糖と糖質との違いについて

オリゴ糖は腸内環境を整える働きを持った機能性成分です。しかし、多くの方から毛嫌いされている「糖質」とおなじ「糖」という文字が含まれている成分でもあります。オリゴ糖と糖質。この2つに違いはあるのでしょうか。今回はオリゴ糖と糖質との違いについて詳しく紹介していきます。

オリゴ糖の効果について

オリゴ糖は生体内で、腸内環境を整える働きをします。腸内におけるプレバイオティクスとして働くのです。プレバイオティクスとは、腸内に存在しているビフィズス菌などの善玉菌の働きを活性化させる物質のことです。善玉菌の増殖を促したり、免疫機能を高めたりするのです。また、その他にも抗がん作用や抗炎症作用、脂質代謝の改善など、様々な健康効果があるとされています[1]。このように、オリゴ糖は生体内において非常な有益な働きをする機能性成分なのです。

オリゴ糖は糖質とは違うのか

しかし、そんなオリゴ糖ですが、しばしば糖質と混同されます。両方とも名称に「糖」という文字を含んでいるため、両方が同じような働きをしていると思われるのでしょう。しかし、その働きについては大きな違いがあります。

オリゴ糖も糖質も炭水化物に分類される

オリゴ糖も糖質も炭水化物に分類されます。炭水化物の定義について「日本人の食事摂取基準(2015年版)」[2]では、「炭水化物(carbohydrate)は、組成式 Cm(H2O)n からなる化合物である。炭水化物は単糖あるいはそれを最小構成単位とする重合体である。」としています。つまり、炭水化物は炭素(C)と水(H2O)からなる構成物の総称のことをいうのです。

消化性による違いがある

またこれに加えて食事摂取基準では「生理学的分類では、ヒトの消化酵素で消化できる易消化性炭水化物と消化できない難消化性炭水化物に分類できる。」との補足説明を加えています。実は糖質とオリゴ糖との違いの大部分は、この部分に集約されています。糖質は人の消化酵素で分解される成分で、オリゴ糖はされない成分なのです。つまり糖質は易消化性炭水化物に、オリゴ糖は難消化性炭水化物に分類されるのです。オリゴ糖と糖質との違いは、その消化のされやすさにあるのです。

この消化されやすさというのは、人間の体にとっては言葉以上に大きな違いになります。人間の消化酵素で分解できる糖質(砂糖やご飯やパンなどに含まれるデンプン)は、胃や小腸なでにおいて、酵素による消化を受けた後に吸収されます。その際は、さらに小さな糖質であるブドウ糖にまで分解されます。このブドウ糖が血液に入って、その後に体中の様々な組織にまで運ばれ、最終的にはエネルギーを生み出します。糖質こそ、人間が最も一般的に使用しているエネルギー源なのです。

それに対して、人間の消化酵素で分解されない炭水化物であるオリゴ糖は、胃や小腸では分解されません。そのままの形で大腸にまで達します。そして大腸において、腸内環境を整える働きなどをするのです。この働きに加えて、オリゴ糖は腸内細菌による発酵をうけ、カプロン酸などの短鎖脂肪酸を作り出すなどの働きもします。このように、易消化性炭水化物と難消化性炭水化物では、その代謝のされ方や、その後の働きについても全く異なるのです。

オリゴ糖は糖質制限ダイエットで摂取してもいいのか

オリゴ糖と糖質との違いについては上記で説明しました。では、最近はやりの「糖質制限ダイエット」では、オリゴ糖を摂取してもよいのでしょうか。

糖質制限ダイエットについて、これに関する著書を多く出版している江部康二医師は「できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐ」食事であるとしています[3]。つまり、糖質制限ダイエットで制限すべきは食後の高血糖をまねく、血糖値を上昇させる食べ物なのです。

この点から申し上げますと、糖質制限ダイエットにおいてはオリゴ糖を摂取しても何ら問題ないということになります。なぜなら、オリゴ糖は血糖値を上昇させないからです。糖質制限ダイエットで制限すべきなのは、人間の消化酵素で簡単に分解される易消化性炭水化物であって、オリゴ糖のように人間の消化酵素で分解されない難消化性炭水化物ではないのです。ですので、糖質制限ダイエットにおいてオリゴ糖を使用しても構わないということになります。

これと同じ原理で、血糖値が高いのが気になる!という方も、オリゴ糖であれば安心して摂取することができます。オリゴ糖が血糖値を上昇させることはないからです。さらにいうと、18人の糖尿病患者にオリゴ糖を摂取させた研究において、1に当たり8.0グラムのオリゴ糖を2週間にわたって毎日摂取させると、空腹時血糖が平均で15mg/dl減少したとの報告もあるのです。オリゴ糖の血糖値を低下させるとする根拠はまだ不完全ではありますが、少なくとも、糖尿病を悪化させたり、血糖値を高くするということはないと考えられます。

食物繊維とオリゴ糖との違いは?

ここでは、食物繊維とオリゴ糖との違いについて紹介していきます。

まずは食物繊維の定義について紹介します。日本食品標準成分表において食物繊維は「「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」とされています[4]。この定義をみると、オリゴ糖と非常によく似ていますよね。むしろ、ほとんど変わらないように思えます。

実は食品成分表においては、オリゴ糖は食物繊維の中に含まれています。これは食品成分表の性質によるもので、栄養計算に利用されることの多い食品成分表では、ほとんどエネルギー源とならない食物繊維を炭水化物とは別に掲載しています。そのため、食物繊維と同様にほとんどエネルギー源とならないオリゴ糖は食物繊維の中に含まれているというわけなのです。

ですので、日常生活を送る上では、オリゴ糖は食物繊維と同じとみて良いと思います。オリゴ糖の定義は、Nutrition Reviewによると「オリゴ糖は3-9個の単糖から構成されている炭水化物である」とされています[5]。食物繊維はこれよりも多くの単糖から構成されていることが珍しくありません。そのため、全ての食物繊維がオリゴ糖に分類されるわけではありませんが、難消化性のオリゴ糖でついては食物繊維に分類されると考えて差し支えないでしょう。

まとめ

今回はオリゴ糖と糖質、またオリゴ糖と食物繊維との違いについて解説しました。オリゴ糖と糖質の違いを一言で表すならば、消化性の違いです。オリゴ糖は消化されにくく、糖質は消化されやすいという性質を持っています。そのために、体内に入った後の働きも異なります。オリゴ糖は主に腸内環境を整えるように働き、糖質は主要なエネルギー源として働きます。

また、糖質制限ダイエットにおいてもオリゴ糖は使えるのでした。血糖値血糖値を上げないことを目的として実践される糖質制限ダイエットにおいて、オリゴ糖はその目的を邪魔しません。そのため、糖質制限ダイエットを実践しているという方でも、問題なくオリゴ糖を摂取することができます。

またオリゴ糖と食物繊維との間に大きな違いはないということも紹介しました。オリゴ糖も食物繊維も人間の消化酵素で分解されないことが共通しています。細かな点で相違点はありますが、おおむね同じとみて問題ないでしょう。

オリゴ糖を利用する際は、その性質を分かった上で使うようにしましょう。

参考文献

[1] Macfarlane, G. T., H. Steed, and S. Macfarlane. "Bacterial metabolism and health‐related effects of galacto‐oligosaccharides and other prebiotics." Journal of applied microbiology 104.2 (2008): 305-344.

[2] 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書.

[3] 江部康二. ドクター江部の糖尿病徒然日記.

[4] 文部科学省. 日本食品標準成分表2015年版(七訂).

[5] Nutrients Review. Oligosaccharides Definition, Benefits, Food Examples.