オリゴ糖の種類と特徴

オリゴ糖には多くの種類があります。そして、その種類ごとに得意・不得意があるのです。そのため、自分の期待する効果をもったオリゴ糖を選ばないと、かえって逆効果になる可能性も。今回はオリゴ糖の種類について、それぞれの特徴とともにご紹介していきます。

一言にオリゴ糖といっても色々ある

一般的にオリゴ糖は、整腸作用や免疫機能を高めるなどの機能性を持つ成分です。しかし、一言でオリゴ糖といってもいろいろな種類があります。ビフィズス菌を増やすのに特に効果的なオリゴ糖や、疾病の治療に効果を発揮するオリゴ糖など、その機能性は様々です。さらにいうと、オリゴ糖の代表的な機能性である整腸作用を発揮しないオリゴ糖もなかにはあるのです。つまり、オリゴ糖といってもその特徴は様々で、自分の期待と異なる機能性を持ったオリゴ糖を摂取してしまう可能性だってあるのです。

以下ではそんなたくさんあるオリゴ糖の種類を、製造方法の観点からショ糖をベースにしたもの、天然成分からの抽出物をベースにしたもの、乳糖をベースにしたものの3つに分けて、それぞれの特徴とともに解説していきます。

ショ糖をベースにしたもの

まず初めに紹介するのはショ糖をベースにしたオリゴ糖です。ショ糖というのは聞き覚えのない成分かもしれませんが、砂糖の別名です。つまりここで紹介するのは、砂糖に何らかの処理を施すことで作られるオリゴ糖のことです。フラクトオリゴ糖とカップリングシュガーの2つを紹介していきます。

フラクトオリゴ糖

フラクトオリゴ糖は、オリゴ糖の中でも代表的なオリゴ糖であると言えます。皆さんが思い浮かべる一般的なオリゴ糖の持つ機能性のほとんどを兼ね備えています。オリゴ糖を対象としてその機能性を確かめる研究においても、最も使用されているオリゴ糖です。

フラクトオリゴ糖は、砂糖にフルクトースを結びつけることで作られます。砂糖というのはグルコースとフルクトースが結びつくことでできる糖で、これにフルクトースを結びつけることでフラクトオリゴ糖になります。構造的に砂糖に非常に近いため、砂糖に似た自然な甘さを持っているのが特徴です。

フラクトオリゴ糖の効果を検証した研究は多く行われています。たとえば、日本人におけるフラクトオリゴ糖の効果を検証した研究では、フラクトオリゴ糖が、人間の腸内におけるビフィドバクテリウムやバクテロイデスなどの、いわゆる善玉菌と呼ばれる菌の増殖を促し、ウェルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌と呼ばれる菌の増殖を抑えたことを報告しています[1]。このような結果が得られていることから、フラクトオリゴ糖は腸内環境を整える働きに優れたオリゴ糖と言えるでしょう。

カップリングシュガー

次に紹介するのはカップリングシュガーです。カップリングシュガーは商品名で、正式にはグリコシルスクロースといいます。カップリングシュガーもフラクトオリゴ糖と同様にショ糖をベースにして作られるオリゴ糖ですが、構成している糖の種類に違いがあります。先ほど紹介したフラクトオリゴ糖は、ショ糖にフルクトースが結合した構造をしていますが、カップリングシュガーの場合はフルクトースの代わりにグルコースが結合しています。この構成の違いが機能性にも影響を及ぼしています。

カップリングシュガーはオリゴ糖ですが、実は砂糖と同程度のエネルギーを持っています。つまり、1グラムあたり4キロカロリー程度のエネルギーを持っているのです。フラクトオリゴ糖に代表される難消化性のオリゴ糖は、人間の消化酵素で分解されないため、それほどのエネルギーを産生しません。それに対してカップリングシュガーは易消化性オリゴ糖です。つまり人間の消化酵素で分解されてしまうのです。そのために砂糖と同程度のエネルギーを持っているのです。では、そんなカップリングシュガーの健康に与えるメリットには何があるのでしょうか。

カップリングシュガーの特徴は虫歯になりにくいという点です。砂糖を摂取した場合だと。砂糖は口腔内に存在する菌のエサとなり、それが虫歯の原因になります。それに対してカップリングシュガーは、口腔内に存在する菌のエサにはなりません。ですので、摂取しても虫歯の原因になりにくいのです。そのため、子どもに与えるお菓子などに良く使用されています。

天然成分からの抽出物をベースにしたもの

次に紹介するのは天然成分からの抽出物をベースにしたオリゴ糖です。オリゴ糖は人工的に作り出すばかりでなく、自然界にも存在しています。そのようなオリゴ糖を抽出し、利用しやすく加工されたものが、このカテゴリに分類されるオリゴ糖です。それらの中から大豆オリゴ糖とキシロオリゴ糖の2種類をご紹介します。

大豆オリゴ糖

大豆オリゴ糖は、その名の通り大豆に含まれているオリゴ糖のことです。一般的なオリゴ糖と比べても消化されづらく、そのために効果が高いといわれています。大豆オリゴ糖はラフィノースとスタキオースという2つのオリゴ糖から構成されています。

大豆オリゴ糖の効果についても研究が行われています[2]。この研究では21歳から45歳の男女、合計9名を対象として、大豆オリゴ糖の効果が検証されました。その結果、大豆オリゴ糖を摂取した場合に、腸内フローラにおけるビフィドバクテリウム、いわゆるビフィズス菌が多くなっていたとのことです。また、腸内フローラにおける悪玉菌も、統計学的に有意に減少していたとのことでした。これらのことは、大豆オリゴ糖が消化されずにしっかりと大腸にまで届き、腸内フローラを改善させたことを示しています。大豆オリゴ糖はその名の通り大豆や豆腐などに多いため、食事として日常生活に取り入れやすいオリゴ糖であると言えるでしょう。

キシロオリゴ糖

次に紹介するのはキシロオリゴ糖です。このオリゴ糖も自然界に存在しているオリゴ糖で、微量ですが、きのこなどに含まれています。工業的に産生する場合は、キシランという食物繊維に酵素を作用させて作られます。キシロビオースとキシロトリオースの2種類のオリゴ糖から構成されています。

キシロオリゴ糖についても、整腸作用が認められています。これに関する研究が1990年に発表されています[3]。1日にキシロオリゴ糖を5グラム摂取させた場合に、腸内におけるビフィズス菌が有意に増加したほか、糞便のpHが下がり、水分量が増加したと報告されています。ビフィズス菌が増えるのも糞便pHが下がるのも水分量が増加するのも、便秘の解消においては非常に重要なポイントです。キシロオリゴ糖は便秘の解消に効果的なオリゴ糖であると言えます。

乳糖をベースにしたもの

次に紹介するのは乳糖をベースにしたオリゴ糖です。乳糖は学術的にはラクトースといい、グルコースとガラクトースから構成されています。乳糖は牛乳に多い糖質なので、それらから作られるオリゴ糖はミルクオリゴ糖とも言われています。このカテゴリに分類されるオリゴ糖は、ガラクトオリゴ糖、ラクツロースの2種類です。

ガラクトオリゴ糖

ガラクトオリゴ糖は乳糖にβ‐ガラクトシダーゼという酵素を作用させることで産生されます。乳糖にガラクトースが結合した構造をしています。このガラクトオリゴ糖は、牛乳に天然に含まれている場合があるほか、母乳中にも含まれているオリゴ糖です。ですので、摂食経験の豊富なオリゴ糖なのです。つまり安全性が高いということで、オリゴ糖を試してみたいけど安全性に不安があるという方は、まずはこのオリゴ糖から摂取されることをオススメします。

このオリゴ糖に関しても、優れた効果が報告されています。このことについては、十分な信頼性の保証された方法を用いて研究が行われました[4]。この研究によると、ガラクトオリゴ糖を投与された被験者では、オリゴ糖の摂取によりビフィズス菌が増加したとのことです。また、この結果はオリゴ糖を摂取した量に比例して増加していたとのことでした。これらの結果は、ガラクトオリゴ糖のもつ腸内環境を整える作用を強く裏付けています。

ラクツロース

最後に紹介するのはラクツロースです。ラクチュロースとも表記されます。このラクツロースは牛乳を殺菌することでも産生されるため、ガラクトオリゴ糖と同様、摂食経験が豊富なオリゴ糖と言えます。

ラクツロースは肝性脳症の患者の治療のためにも使われているオリゴ糖です。肝性脳症は、何らかの原因により肝臓の機能に障害をきたした場合に発症する可能性のある病気で、アンモニアが脳に達してしまうことを原因としています。肝臓は尿素回路という代謝系により、アンモニアを無毒化してくれるため、そんな肝臓がダメになってしまうと血液中にアンモニアが多くなってしまうのです。アンモニアは人体にとって有害ですので、脳を初めとする各種臓器に悪影響が出るのです。

ラクツロースは肝性脳症の原因となるアンモニアを減少させる働きがあります。アンモニアは腸内に存在する悪玉菌によっても産生されています。そんな悪玉菌を減らし、アンモニアの産生を抑える働きをラクツロースがします。肝性脳症の患者にラクツロースを投与することでQOL(生活の質)を向上させたとの研究結果もあります[5]。臨床の場においても良く使用されており、信頼性の高いオリゴ糖です。

まとめ

今回はオリゴ糖の種類について紹介しました。オリゴ糖にはたくさんの種類があり、選ぶ際に迷われるかもしれません。その際の一助となればと思います。

参考文献

[1] Hidaka, Hidemasa, et al. "Effects of fructooligosaccharides on intestinal flora and human health." Bifidobacteria and microflora 5.1 (1986): 37-50.

[2] 和田光一 ら."大豆オリゴ糖の各摂取量によるヒト腸内フローラに及ぼす影響." ビフィズス 5.1 (1991): 51-54.

[3] OKAZAKI, Masako, Shigeaki FUJIKAWA, and Nobuya MATSUMOTO. "Effect of xylooligosaccharide on the growth of bifidobacteria." Bifidobacteria and Microflora 9.2 (1990): 77-86.

[4] Ito, M., et al. "Effects of administration of galactooligosaccharides on the human faecal microflora, stool weight and abdominal sensation." Microbial Ecology in Health and Disease 3.6 (1990): 285-292.

[5] Prasad, Srinivasa, et al. "Lactulose improves cognitive functions and health‐related quality of life in patients with cirrhosis who have minimal hepatic encephalopathy." Hepatology 45.3 (2007): 549-559.