オリゴ糖の目安摂取量と上限について

健康効果の高いオリゴ糖ですが、摂取に当たっては目安量を守る必要があります。効果を得るためや、副作用の生じないようにするためです。今回は、オリゴ糖の摂取目安量と、副作用が生じる摂取量、また副作用の生じない最大の摂取量について紹介していきます。

目安の摂取量

オリゴ糖には効果を得るために最適な目安の摂取量が存在します。そしてそれは、そのオリゴ糖の種類によっても異なります。次の表を見てください。

表:オリゴ糖の一日目安摂取量(出典[1]

オリゴ糖の種類 一日摂取目安量
フラクトオリゴ糖 3g ~ 8g
乳果オリゴ糖 2g ~ 8g
ガラクトオリゴ糖 2g ~ 5g
キシロオリゴ糖 1g ~ 3g
イソマルトオリゴ糖 10g

これは、消費者庁から公表されている、「特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」に掲載されている表から抜粋したものです[1]。特定保健用食品というのは、「トクホ」との呼び名で親しまれているもので、これに該当する食品として販売するためには、それについての基準を満たさなければなりません。その基準の1つに、1日摂取目安量があるのです。つまり、オリゴ糖を使用した特定保健用食品として販売するためには、上の表に記載されている1日摂取目安量の範囲で、食品の目安摂取量を設定する必要があるのです。

この値は、安全性が高く、かつ有効性が確認できる値として設定されています。様々な研究の結果を統合し、この値を設定しているのです。なので、特定保健用食品以外の食品からオリゴ糖を摂取する場合であっても、この目安量を一応の基準とすることで適切な摂取量とすることができるでしょう。これ以上の摂取は慎重になるべきだし、これよりも極端に低い量だと期待できる効果も少ないと考えるべきなのです。

実際の研究ではどうか[2]

では、実際の研究ではどの程度のオリゴ糖が使用されているのでしょうか。健康な日本人男性を対象に、イソマルトオリゴ糖の腸内細菌叢に与える影響を観察した研究では、13.5グラムのオリゴ糖を2週間にわたって摂取させています[2]。そしてその結果としては、腸内細菌叢の改善が見られたとのことです。副作用も見られませんでした。

この研究で使用されたイソマルトオリゴ糖の摂取量は、先ほどお示しした摂取目安量と比べると多い量です。この研究で使用された量は1日あたり13.5グラム、先ほどお示しした、特定保健用食品の規格基準における1日摂取目安量は10.0グラムです。ですので、この研究で使用された量の方がかなり多い量であることが分かります。

これは、この研究の対象者が男性であることにも関係しています。オリゴ糖の効果には個人差があります。もちろん副作用にも。体重が重い人の方が、効果を得るためにはたくさんのオリゴ糖が必要ですし、女性よりも男性の方が多くのオリゴ糖が必要です。逆に言うと、体重が軽い人は重い人よりも、女性は男性よりも副作用が生じやすいということになります。摂取目安量を定めるにあたっては安全性を最大限に確保しなければならないため、副作用の生じやすい女性の方にその目安量を合わせることになります。その結果として、この研究では目安量よりも多めの摂取量になっているわけです。

ここで気になるのはその摂取量の上限はどのくらいか、ということですよね。一番良いのは目安量をしっかりと守ることですが、その目安量を1グラムでも超えてしまったら副作用が生じてしまうというのであれば、オリゴ糖を摂取するに当たって少し不安になります。以下で摂取量の上限について詳しく紹介していきます。

オリゴ糖摂取量の上限[3]

ここではどの程度の量を摂取するとオリゴ糖を摂取したことによる副作用が生じるのか、またどの程度の摂取だとぎりぎり副作用が生じないのかをお示しします。

副作用の生じる摂取量

ここでは、摂取することで副作用の生じる量についてご紹介します。成人女性を対象にした研究では、大量のオリゴ糖を一度に摂取させた場合の下痢発生者割合を報告しています[3]。その結果が以下の表です。

表:一括摂取した場合の下痢発生者割合(出典[3]

  1回摂取量
60グラム 45グラム
下痢を発症 9人 / 14人 3人 / 8人

この研究では、60グラムと45グラムのガラクトオリゴ糖をそれぞれ摂取させました。ガラクトオリゴ糖の1日摂取目安量は、最初の方で示したとおり2~5グラムです。今回摂取させた量は、1日摂取目安量を5グラムとして計算すると、60グラムは12倍、45グラムは9倍もの量になります。

このくらい大量のオリゴ糖を一度に摂取させた場合では、多くの対象者で下痢の発生が確認されました。60グラムでは14人中9人が、45グラムでは8人中3人が下痢を発生させました。

また、この研究ではオリゴ糖を分割摂取させた場合の調査も行いました。合計で90グラムにもなるオリゴ糖を3度に分けて摂取させた場合の下痢発生者割合も調査しています。先ほど示した表は一度に大量に摂取させた場合の下痢発生者割合を示していますが、今度はそれよりも少ない量(30グラム)を3回摂取させた場合の下痢発生者割合を調査しました。

分割摂取の場合は、下痢の発生は1人の対象者にも見られませんでした。分割摂取における摂取量は、一回あたりの摂取量は30グラムと少ないものの、合計の摂取量は90グラムと多い。それにもかかわらず1人の対象者も下痢を発生させなかったのです。これは一括摂取した際に下痢を起こした対象者(60グラムの一括摂取の際に下痢を発生した9人、45グラムの場合の3人)であっても同様でした。一括摂取の際に下痢を発生させた対象者であっても、分割摂取の場合は下痢を発生させなかったのです。これは下痢の発生に一度に大量に摂取する場合の影響が大きく、分けて摂取する場合はそれほどでもないということを示しています。

副作用の生じない摂取量

では次に、摂取しても副作用の生じない摂取量をご紹介します。これについても先ほどより紹介している研究において検討されています[3]。次のグラフを見てください。

このグラフでは、60グラム・45グラムのオリゴ糖を一度に摂取した場合に下痢を発生させた12人をプロットしています。プロットは、対象者の体重をオリゴ糖の摂取量で割った値をx軸とし、それぞれの時点における累積下痢発生率をy軸として行われました。

このプロットから、y=163.4x-131.3 という回帰式が得られています。この回帰式では、yが下痢の累積発生率を、xが下痢を発生させた体重1キログラムあたりのオリゴ糖摂取量を示しています。この式から副作用の生じないオリゴ糖の摂取量を導き出すことができます。

このyが0になる時、つまり下痢の累積発生率が0%になる時のxの値こそが、体重1キログラムあたりのオリゴ糖の最大無作用量(副作用の生じない最大の量)ということになります。この値はおよそ0.80グラム。つまり、体重1キログラムあたり0.80グラムがオリゴ糖の最大無作用量ということになります。

例として、この値を体重50キログラムの人に対して当てはめてみましょう。そうすると、40グラムがオリゴ糖の1日あたりの最大無作用量ということになります。この量は、ガラクトオリゴ糖の目安量のおよそ8倍もの量になります。つまり理論上は、この程度の量を摂取したとしても副作用は生じないということになります。

まとめ

今回はオリゴ糖の目安の摂取量や、副作用の生じる摂取量、また副作用の生じない最大の摂取量を紹介してきました。理論上、副作用を生じるまで摂取するためには、目安量の何倍ものオリゴ糖が必要であることが分かりました。また、副作用の生じない最大の摂取量に関しても、目安量よりもかなり高い量であることがわかりました。これらのことから目安の摂取量であれば摂取しても安全であるということがおわかりいただけたと思います。

結論としては、最初にお示しした目安の摂取量をしっかりと守るようにしましょう、ということになります。目安量は、個人の差を考慮した、摂取しても安心な摂取量としてしっかりと定められています。市販のオリゴ糖を利用する際にも、この摂取量を参考にするようにしましょう。

参考文献

[1] 消費者庁. 特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準.

[2] Kohmoto, Takanobu, et al. "Effect of isomalto-oligosaccharides on human fecal flora." Bifidobacteria and Microflora 7.2 (1988): 61-69.

[3] 奥恒行, 崎光子. "ヒトにおける難消化性オリゴ糖・ガラクトシルスクロースの一括摂取と分割摂取の一過性下痢誘発に及ぼす影響ならびにその許容量." 日本栄養・食糧学会誌 52.4 (1999): 201-207.