オリゴ糖のカロリーについて

オリゴ糖は便秘に悩む方によく使われている甘味料です。オリゴ糖の摂取により善玉菌が増加し、その結果として便秘を解消する効果が期待できるからです。しかし、やはりそのカロリーが気になります。「糖」という名称が付いているオリゴ糖ですが、そのカロリーはどの程度なのでしょうか。今回はそんなオリゴ糖のカロリーについて紹介していきます。

オリゴ糖のカロリーは砂糖の約半分

オリゴ糖のカロリーは砂糖のおよそ半分です。消費者庁から発行されている「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」[1]においては、オリゴ糖のもつカロリーは、砂糖の持つカロリーの約半分であるおよそ2キロカロリーだとされています。

なぜ砂糖の半分程度しかカロリーがないのかというと、それはオリゴ糖が消化されにくいということによります。オリゴ糖は砂糖のような通常の炭水化物のように消化されないため、摂取しても砂糖ほどのカロリーを産生しないのです。

では、そんなオリゴ糖は、どんな代謝のされ方をするのでしょうか。どのように分解され、カロリーを産生するのか、以下で詳しく紹介していきます。

オリゴ糖のエネルギー代謝について

オリゴ糖の代謝について詳しく紹介するために、通常の炭水化物である砂糖と対比しながら紹介していきます。次の図をご覧ください。

この図は、日本食品分析センターが公表している資料から引用した図です[2]。炭水化物について、簡単に消化できる易消化性炭水化物と、ほとんど消化されない難消化性炭水化物とに分けて、端的に示されています。一般的な炭水化物に例をあげて説明すると、前者には砂糖やデンプンが、後者には食物繊維やオリゴ糖が該当します。以下で、易消化性炭水化物と難消化性炭水化物の代謝について詳しく見ていきましょう。

易消化性炭水化物の場合

まずは易消化性炭水化物についてです。易消化性炭水化物の消化は口腔内から始まります。食物が最初に通る場所である口は、同時に消化が最初に始まる場所でもあるわけです。

ご飯やパンなどには炭水化物であるデンプンが含まれます。食物を咀嚼していると唾液がでてきますよね。そんな唾液の中には消化酵素が含まれています。唾液アミラーゼとも呼ばれるその酵素は、デンプンを構成しているα‐1.4グリコシド結合を切断していき、より構造の小さな炭水化物にまで分解していきます。最終的には、膵臓から分泌されるアミラーゼによってさらに消化されていきます。

かなり細かく分解された炭水化物は、小腸に存在している微絨毛膜によって最後の消化を受け、それと同時に吸収されます。このときには、それぞれの炭水化物に適応した酵素によって分解されます。砂糖の場合はスクラーゼ、マルトースの場合はマルターゼといった具合に、それぞれの炭水化物によって最適な消化酵素は異なります。

そうして吸収された炭水化物は、門脈と呼ばれる特別な血管を通って肝臓に運ばれます。そして肝臓において、それを良く働かすためのエネルギーとなり、エネルギー源として蓄えたり、また他の組織に輸送したりするのです。他の組織に輸送された炭水化物は、そこで解糖系やTCA回路、電子伝達系などの代謝経路によって代謝され、エネルギーを産生します。この時に産生されるエネルギーが、炭水化物1グラムにつき4キロカロリー程度になります。

難消化性炭水化物の場合

ここから、難消化性炭水化物、つまりオリゴ糖の代謝について見ていきます。オリゴ糖は摂取した場合に、砂糖のように消化されることがありません。これは、オリゴ糖を構成している結合が、人間の持つ消化酵素で切断できないためです。口腔内に存在する酵素によっても消化されませんし、胃や小腸においても消化されません。ですので、オリゴ糖は砂糖がエネルギーを産生するような経路ではエネルギーを産生しないのです。

人間の消化酵素で分解されないオリゴ糖は、そのままの形で胃や小腸を通り抜け、大腸に到達します。そして、大腸において腸内に存在する細菌による発酵を受けます。腸内には実にいろいろな細菌が群れをなして存在しており、ビタミンB12やビタミンKなどの体にとって重要な栄養素を合成するほか、様々な重要な働きを行っています。そのうちの一つに、オリゴ糖などの難消化性炭水化物の発酵があるのです。

オリゴ糖が発酵を受けることで、短鎖脂肪酸が産生されます。短鎖脂肪酸というのは、構成している炭素の数が少ない脂肪酸のことをいい、プロピオン酸や酪酸などがこれに該当します。消化管を動かすためのエネルギー源として利用されたり、ケトン体などの他のエネルギー源に変換されたりします。この発酵により産生される短鎖脂肪酸のもつエネルギーが、1グラムのオリゴ糖あたり2キロカロリーに相当するのです。

オリゴ糖はカロリーが少ないためダイエット向き

砂糖や果糖などの一般的な糖類と比べて、オリゴ糖はカロリーが低いため、ダイエットに向いていると言えます。コーヒーや紅茶には必ず砂糖を入れているという方は、それをオリゴ糖に代えるだけで摂取カロリーを減らすことができます。

朝・昼・夕と、1日で3回コーヒーを飲む方が、それに使用する砂糖をオリゴ糖に変えた場合のことを考えてみましょう。1回あたりに使う砂糖の量を3グラム(スティックシュガー1本分)として計算すると、砂糖のカロリーはおよそ12キロカロリーです。これをオリゴ糖に代えたとすると、およそ6キロカロリーのカットということになります。つまり1日だと、これに3を乗じた値である18キロカロリーをカットできるという計算になります。

今回の計算では飲み物に入れる砂糖についてのみ計算したため、1日あたりにカットできるカロリーがたったの18キロカロリーという結果になりました。18キロカロリー程度なら、それほど大きな違いはないと感じられるかもしれませんが、砂糖などの甘味料を使用する機会は飲み物に入れるだけではありませんよね。料理の甘みとし使うかもしれませんし、お菓子に入れることもあるでしょう。それらを考慮すると、もっと多くのカロリーをカットできると考えられます。

オリゴ糖のダイエット効果はカロリーカットだけではない

また、オリゴ糖の持つダイエット効果は、カロリーをカットできるだけではありません。ラットを対象にした研究では、フラクトオリゴ糖を投与されたラットは、そうでないラットよりも蓄積される脂肪が少なかったと報告しています[3]。これは、オリゴ糖が大腸内で発酵されることよって発生する短鎖脂肪酸により、IGN(腸での糖新生)が亢進することによるとされています。このように、オリゴ糖は摂取するカロリーを減少させるだけではなく、その他の働きによってもダイエット効果がもたらされるのです。

まとめ

今回は、オリゴ糖のカロリーについて紹介しました。オリゴ糖は砂糖とは異なるプロセスによって代謝され、そのためにカロリーは砂糖よりも小さくなっていました。オリゴ糖のもつカロリーは砂糖の約半分です。普段砂糖を使っている方は、それをオリゴ糖で置き換えることで、カロリーカットできます。それに加えて、オリゴ糖を摂取することによってIGNが亢進し、それ単体でのダイエット効果も期待できると考えられます。健康に痩せたいという方は、オリゴ糖を使うことを考慮すると良いでしょう。

参考文献

[1] 消費者庁. 食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン.

[2] 日本食品分析センター. 食物繊維のエネルギー評価について.

[3] De Vadder, Filipe, et al. "Microbiota-generated metabolites promote metabolic benefits via gut-brain neural circuits." Cell 156.1 (2014): 84-96. 2.